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罫線を引き引き足を出し


    【罫線を引き引き足を出し】

    「罫線(けいせん)」とは、いわゆる”チャート”の事を指します。
    ”チャート”といえば、直ぐに浮かぶのが「25日線・5日線・200日線」などの移動平均線や、一目均衡表、古来からある日本の酒田足や鍵足、外国のP&F(ポイント&フィギュア)やギャンなどなど
    それこそ沢山の”チャート”なるものは存在して、皆さんがそれぞれの使いやすさから使うチャートを決めていることでしょう。

    2000年以降のインターネットの発達によって、パソコンさえあれば、手軽に各種のチャートを見る事が出来るようになったのは、IT革命の素晴らしい所産の一つだと思うところ、それまでは「チャートブック」や「ゴールデンチャート」を購入して(あるいは配達してもらい)土曜・日曜にその分厚い本を枕に銘柄選定をしていたものでした。
    あるいは、ラジオの短波放送を聴きながら逐一値運びをつけるか、新聞や文字放送の四本値(始値・高値・低値・終値)を集めて書きこんでいたりもして、当然、その過程で自然とチャートを自ら作成するという事もあったかと思います。
    それは、ある意味では自分で株価の値動きや値運びを直にビジュアル化して掴む事にも繋がったことでもあり、身体で株式を覚えて行くという「照英のIt's old営業」なスタイルでも有りましたが、本当にその通りの古典的なスタイルで、強い意思と膨大な時間が自作のチャート作成には必要であったのでした。

    当然、その様にしてチャートを引けば、色々な部分での理解も深まり一家言あるようにもなるし、それぞれの数字から、後何円で動きが変わる(筈)とか、これが天井(底打ち)な(筈)ということに拘りが生じてしまう場合も出てきます。
    ”チャート”の位置づけをどの程度絶対的、神聖なモノにするのかは各人の哲学に左右されるところではありますが、【相場の元々の本義】は何の為にあるのかという事を考えたならば、「相場の予測が当たる」ということも大事ですが、”相場で儲ける”という事が第一の本義となるわけですから、相場環境や流れを無視して「本来チャートではこうなる筈」という事を譲らないでいると、たちまちに儲かるどころか赤字になる(足を出す)破目に陥ってしまいます。

    【罫線を引き引き足を出し】という格言は、相場が「相たいする」という字を使うところからも極めて相対的で、かつ人間が取り組むものなので(人間が作ったプログラムが取り組むものなので)そうは原理原則通りにはならないという事の一つの戒めでもあるのです。

    無論、チャートは、相場で利益を出して行くための重要なツールの一つであり、これなくして闇雲に動くのはそれこそ博打そのものであって最終的に利を残す事は出来ません。
    「利は理に通じる」という事を前提に、どこまでその「理」を重視していくのか、「理外の理」をも考えていくのか……まさにそれこそが個々人の相場観と呼ばれる哲学に通じていくのであって、このバランスを磨くこと(四角四面の原理原則主義に陥らない事)が重要であるということを、この格言は示してくれている様に思います。