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PTS は売り場(買い場)


    【PTS(Private Trade System)】とは、SBI証券を中心に運営されている東京株式市場とは別の取引の場である。
    東京株式市場は先物は別として個別銘柄について午後15時の立ち合い終了の後は取引をする術はない。
    IRに関連するニュースや、いわゆる”材料”と言われるモノが発表された場合に、次の日の立ち合い開始の午前9時までに持ち株を処分したい、新たにその株を購入したいとしても当然なす術はなかったのであるが、それをSBI証券が取引の場を設ける事で立ち合い終了後の売買を可能にしたものである。

    もちろん、一定の理由が無ければPTS市場と言っても取引は薄く(殆ど無く)、IRや材料の出現した銘柄に関しては活況を呈するのだが、そのIRや材料の強弱によって大幅高(ストップ高)であったり、大幅安(ストップ安)になったりと、かなりの振れ幅を見せることになる。

    相場は虚々実々の駆け引きの場であり、人の思惑が満ち溢れる場でもあるが、そのボリューム(出来高)が厚ければ、自然と妥当な株価水準に収斂されていくが、ボリュームが少なければ妥当値からはかけ離れた値段をつけることになる。
    これは、いわゆる市場のプレイヤーの内、個々人のみの思惑と資金量とで形成される株価と、機関投資家やプロ筋といった枠組みからの判断や資金量も含めた上での株価形成という部分による差でもある。

    今、買っておかねば」

    今、売っておかねば」

    その感情的な高まりが昂じた状態がむき出しになっている……とでもいうのがPTS市場でもあろうか。

    当然、個人の中でも機関投資家やプロ顔負けの、慧眼を持つ人はいる。
    特に、日本の証券市場という個人には決して甘くない(むしろ個人を食い物にせんとするような)市場において生き残っている方々などは、それこそ真の意味の”達人”と呼ぶべき人達であるのだが、そういう人達は、IRや材料で良いモノが出た場合には、その勢いで買いになぞ走らず、逆に(自分が関わっている)手持ちの銘柄をPTSの高値で売却をしていたりする。
    実際に次の日の午前9時の立ち合い開始までは”真の株価”は分からないのだが、次の日の立ち合い開始後の株価は得てしてこのPTSで付ける株価を超える様な事は少なかったりもする。
    無論、本当に良い材料で、中長期的に見て企業の価値を増大させる様なIR・材料であればPTS通りに大幅高・ストップ高をすることも出てくるが、それに値するものかどうかは個々人の目利きでは限界があるのである。
    (それは、マイナスのIRや悪材料の場合の逆も然り)

    そういう意味で、”巧く”PTSの場を活用して次の日の立ち合いでは付けない株価(それこそ幻の高値・安値)で手じまいする・参加するというのも一つの手法なのである。

    【PTSは売り場(買い場)】というのは、マダマダ人口に膾炙した格言では無いが、きっとそう遠くない時期に「新・相場格言」などというものが出来たら採録されるかもしれないので触れてみる事にした。